障害年金とは?精神疾患の方が申請する際の3つの壁と対策

【はじめに】経済的な不安を抱える方へ。障害年金という支え

うつ病、統合失調症、発達障害といった精神疾患により、現在、仕事や日常生活に大きな制限があり、経済的な不安を抱えていませんか?

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に制限がある方を、経済的にサポートする国の公的な制度です。特に精神疾患の場合、その症状が外見からは見えづらく、また制度が複雑なため、「自分は対象外かもしれない」「申請が難しすぎる」と諦めてしまう方も少なくありません。

しかし、障害年金は、あなたの生活を経済的に支える重要な柱となる可能性があります。申請は複雑ですが、この記事で正しい知識と準備のポイントを知ることで、受給の可能性を高めることができます。

障害年金とは?種類と「精神の障害」の対象疾患・支給額

ここでは障害年金の概要を説明します。

障害年金の2種類と支給額

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、どちらを受給できるかは、初診日(障害の原因となった病気で初めて医師の診察を受けた日)に加入していた年金制度によって決まります。

障害基礎年金は、等級に応じて金額が定額で決まっており、生活を支えるベースとなるものです。一方、障害厚生年金は、基礎年金の金額に加えて、これまでの給与や加入期間に応じた報酬比例の年金額が上乗せされるため、金額は個々人によって異なります。

また、精神疾患で障害年金の対象となる等級は、障害基礎年金は1級・2級のみ、障害厚生年金は1級・2級・3級の可能性があります。

対象となる主な精神疾患

統合失調症、気分障害(うつ病・双極性障害)、てんかん、発達障害(ASD、ADHDなど)、高次脳機能障害など、幅広い精神疾患が障害年金の対象となります。ただし、神経症(不安障害など)は原則として認定の対象外ですが、その病態が精神病と変わらないと判断された場合は認定の可能性があります。

受給のためにクリアすべき3つの要件

障害年金を受給するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。精神疾患の場合、それぞれに特有の難しさがあります。

初診日の特定と証明

精神疾患の場合、初診の時期が曖昧になりがちです。また、最初の医療機関が閉院している、通院が途切れがちでカルテ(保存期間は原則5年)が残っていないなど、初診日を証明する「受診状況等証明書」の取得が難しいことが多いです。初診日が特定できないと、申請自体を進めることができません。

初診の医療機関にカルテがなくても、初診の時期が分かる領収書、診察券、お薬手帳、または当時の家族・知人の第三者証明(陳述書)といった書類を可能な限り収集することが重要です。初診日がいつだったかを遡って正確に突き止めることがとても重要になります。

保険料納付要件

初診日の前日において、定められた年金保険料の納付状況を満たしていなければなりません(納付要件)。未納期間が長いと、この要件を満たせず不支給となります。

納付要件を満たしているか不安な場合は、まず年金事務所で正確な納付記録を確認してください。経済的な事情で保険料の支払いが難しい場合は、学生納付特例や免除制度の活用について確認することも重要です。この要件は制度上の明確なハードルです。

障害認定日に障害状態にあること

障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後など)に、定められた障害等級に該当する状態であるかどうかの判断が難しいことです。特に精神疾患の場合、症状に波があり、「日常生活にどの程度の制限があるか」という抽象的な基準で判断されるため、客観的な証明が難しいのです。

まず、障害認定日時点の診断書を取得することが必須です。もし認定日時点で障害状態に該当しなかった場合でも、その後病状が悪化した場合は「事後重症請求」という形で、現在の症状で申請が可能です。この壁を乗り越えるためには、次の「日常生活能力の評価」が決定的に重要となります。

審査の鍵となる「日常生活能力」の具体的な評価ポイント

精神疾患の障害年金審査で最も重要となるのが、「日常生活の制限の程度」です。これは、診断書の裏面にある「日常生活能力の判定」という7つの項目に基づき、医師が4段階で評価することで決定されます。

診断書の評価における特に重要な留意点

正確な審査のため、医師は以下の重要な留意点を踏まえ、状態を評価します。

1.支援のない状態を想定(能力の過大評価防止)

入所施設やグループホーム、または援助を行える家族と同居しているなど、支援が常態化した環境下で生活が安定している場合であっても、医師は単身でかつ家族や福祉サービスなどによる支援がない状況で生活した場合を想定し、その場合の日常生活能力を評価・記載します。

2.独居でも支援の必要性を考慮

現に独居している方であっても、日常的に家族の援助や福祉サービスを受けていることによって生活できている場合(現に支援を受けていなくても、その必要性がある場合を含む)は、それらの支援の状況や必要性を踏まえ、実際の能力を過大評価しないように留意します。

3.一時的な状態ではない

審査では、診察時(来院時)の一時的に落ち着いた状態や、特定の良い時期だけを見るのではありません。現症日の過去1年程度の障害状態の変動について、症状の好転と増悪の両方を勘案したうえで、平均的な日常生活能力の程度を判断します。

日常生活能力の具体的な判定項目(7項目)

以下の7項目について、「助言や援助がなくても自発的に適切にできるかどうか」が4段階で問われます。

1.適切な食事
食料品の管理や簡単な調理、配膳を含め、自発的かつ適切に食事の用意と摂取ができているか。

2.身辺の清潔保持
入浴、洗面、着替え、歯磨きなどを自発的かつ適切に行えているか。家族に言われてようやく行う、自室の清掃・片付けができない場合は、困難と判断されます。

3.金銭管理と買い物
収入に見合った家計のやりくりや、計画的な買い物が一人でできているか。衝動買いや金銭の管理ができない場合は、困難と判断されます。

4.通院と服薬
規則的に通院・服薬を行い、医師に病状を正確に伝え、指示された服薬量を守れているか。(精神疾患で特に重要な項目です)

5.他人との意思伝達及び対人関係
挨拶や簡単な意思の疎通はできても、他人との円滑な協調関係を維持し、集団から孤立せずにいられるか。

6.身辺の安全保持及び危機対応
ガスコンロの火を消し忘れない、道具や乗り物の危険性を認識するなど、身辺の安全を確保し、通常と異なる事態に適切に対処できるか。

7.社会性
社会的手続きや公共施設の利用、周囲への配慮など、社会の一員として適切に行動できるか。ひきこもり状態にある場合は、この項目に反映されます。

主治医に正確に伝えるための工夫

審査は、これら7項目を評価した医師の診断書と、ご本人が作成する「病歴・就労状況等申立書」の内容が全てです。診察時は調子が良く見えがちなので、日常生活での具体的な困難(例:週に3日以上入浴ができない、金銭管理ができず衝動買いを繰り返すなど)を時系列でメモにまとめて主治医に渡すなどの工夫が、正確な診断書作成のために非常に重要です。

複雑な申請手続きの流れと活用できるサポート

申請手続きは複雑で、精神疾患の症状を抱えながら一人で行うのは大きな負担になります。具体的には下記の流れになります。

Step1
初診日・納付要件の確認

Step2
診断書・受診状況等証明書の取得

Step3
病歴・就労状況等申立書の作成(発病から現在までの状況を、日常生活の制限に重点を置いて詳細に記述する)

Step4
年金事務所または市区町村役場へ提出

専門家のサポート

制度が複雑であるため、申請手続きをサポートしてくれる社会保険労務士(社労士)への相談や、医療機関の精神保健福祉士(PSW)への相談窓口を利用することが、申請の成功率を高める鍵となります。

【まとめ】受給の可能性は、正しい準備にかかっています

この記事では、障害年金が精神疾患も対象となること、そして「初診日」「納付要件」「日常生活能力」の3つが鍵となることを解説しました。

「自分には無理だ」と諦めず、制度を正しく理解し、ご自身の日常生活における真の困難な状況を、支援がない場合を想定して具体的に、かつ正確に伝える準備を行うことが、受給の可能性を高めます。

障害年金のことで困った場合も、訪問看護ステーションかがやきスッタフへご相談いただけたら、一緒に考えることができます。一人で抱え込まずに、まずはご相談ください。

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